Figaro Japan Aout 1994
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鮮烈な色彩の世界に一目惚れする、『アナ・メルセデス・オヨス展』鮮烈なブルーをバックに、たしかな生命力と気高さをもった女の横顔は、多分一度見たら忘れられなくなる絵のひとつだろう。作者はラテンアメリカ屈指といわれるコロンビアの画家、アナ・メルセデス・オヨス。彼女の初の個展が日本で開かれる。

スペインのボデゴン派と呼ばれる個展画家への傾倒に始まり、60年代半ばにはアメリカン・ポップアートの洗礼を受けたオヨスは1942年生まれ。その豊かな芸術的多様性をベースに、80年代後半からは、コロンビアに根付くアフリカ文化の系譜を再確認しようとバレンケをモチーフにした一連の作品を発表している。バレンケはスペインの植民地時代に奴隷労働から逃げ出したアフリカ系移民たちが切り開いた村なのだという。

「自己と民族のアイデンティティとしての明快なテーマと、光と影のコントラストが作り上げる確かな存在感とラテン特有の色彩が、一見ローカル色に見られがちな作品を質の高いものにし、国際的な評価を獲得するのに至った」(ラテンアメリカ美術研究家 金沢毅)という的確な評論のとおり、オヨスヘの関心は近年ますます高い。展示される油彩や版画は約30点。たくましく美しい風土と女たちが、独自の私的な世界を形成している。